そしてそれと同時に、私の中のなにかが、悲鳴をあげた。
ドクンドクンとすごい動悸がする。
確実に私のそれが千哉の背中に伝わってるとはわかっているけど、千哉がなにも言わないから、私もなにも知らないふりをした。
この大きな動悸の原因はわかっている。
彼の目を、どうしても私は、
修汰くんに重ねてしまったからだと思う。
修汰くんは、翔んだような目をして私を蹴飛ばしたけれど、その根元にある目はこんな眼差しだった。
私を背負ったまま螺旋状になっている階段を下りる千哉に、ざわざわと騒がしくなる。
ていうか、私ここに入っちゃって大丈夫だったんだろうか。
どうみても男しかいないし、女禁制とかだったらそりゃ騒がしくなるよね……
「うるさい」
そんな中、千哉の声でまた静まり返った。
静かな状態で千哉の足音だけが広間に響いた。
千哉が階段を下りきったその時、
「いでっ」
私は右足を振り、踵で千哉の右脇腹を蹴った。