「え……、」





思わず声が漏れた。







「驚いたか?」






なにに驚いたかきいてるのか知りたかったけど、とりあえず首を縦にふった。






「ごめんな……」








なんで、また、ごめんなんて言うんだろう……って思うけどそれも少し仕方ないのかもしれない。



きっとさっきの刺青の話と同じ。










部屋を出た先に待っていたのは、リビングという名の広間。先に待っていた、というよりは私たちはそれを見下ろしている。天井が吹き抜けになったまるでペンションのようなつくり。1階がリビング、それに円囲うように2階に部屋がズラーッと並んでいた。






その一室に私たちはいたらしい。









そして、やっぱり彼はそっちの世界にいる人だとリビングに群がる派手なヤンキーたちを見た。








「……すごいね」




「お前なにに対して言ってる?」




「……色々」








とくになにも考えずに発してしまったせいで、千哉に説明はできなかったけど、本当にすごいと思ったの。





雰囲気が……そう、楽しそうな彼らと、強い威厳のある彼ら。どちらもいるってことを語っていたから。






ゆっくりと螺旋階段をおりていく千哉を見つけた派手なヤンキーたちが、一気に静まり返った。







「……っ、」




私は息を飲んだ。







私の真横にうつる彼の横顔。


千哉の、眼差しはもうすでにその世界のモノとなっていて。





一気に私の身体中の熱が冷めた気がした。