「……お前、ほんとよくわからねぇな」




「思考はズレてるよ、それなりに」





……あの兄と姉との環境だ。


変なヤンキーにも慣れてるし、大抵の仕打ちは受けている。

そのせいか、順応性もそれなりに高いと思う。






だから、“普通”はよくわからない。


常識がわからない。





……なにか嫌なことあったらそれは物に当たればいいだけだ。それが、人だとしても。



……なにか刃向かわれたら、従順になるまで殴ればいい。たとえ、どうなろうとも。






そんな、兄の考えの元、ただひたすらに堪えてきたこの傷が今更治るとでも思うのか。






そのとき、グイッと左の膝下をつかまれ、左足が浮くと私の背中はそのままベッドに倒れこんだ。



私は左足だけが持ち上がった状態で仰向けになったまま足を掴んだ千哉を睨み付けた。









「な、にすんの。」





「確かに、お前はズレてるなぁって思って」





「なんで」





「うれしくねぇの?

俺に押し倒されてるみたいな感じだぞ」





「無理、そういうの無理、」




空いてる右足で千哉を蹴飛ばそうとしてみるも、簡単に押さえつけられてしまう。




「チッ……」



「そういうとこ。」






……全力で抵抗したあとに、そんなこと言われても、はぁ?としか言葉がでない。