【雷神連合Side】
「ただいま~」
紬が出ていってすぐ、和成が戸を開けた。
そして、目の前に広がる惨事に眉を潜めた。
「なにが起きたの……?
修太気失ってるし、床に血が飛んでるんだけど。
これ、誰の?」
「それは紬のだ」
あっけらかんと答える翔平に別に驚くことも慌てるのともなく、和成はへぇ~と言った。
「なに?修太は、狂犬化しちゃったの?」
「あぁ」
「女の子相手に?ウケる」
「…………アイツと、すれ違わなかったか」
翔平は、不本意そうにそう問いた。
「紬ちゃん?
いや、見なかったよ。
……お前が追い出したんじゃないの?」
「……追い出してねぇ、逃げられた」
あんだけボコボコに傷つけたのに、何故まだ動けたんだと翔平は呟き、舌打ちをした。
「……、修太と紬ちゃんは、やっぱデキてたの?」
「あ”ぁ”!?」
「……翔平、俺はお前がよくわからないね」
すごい気迫でガン飛ばしてきた翔平に和成は冷静に言葉を紡いだ
「翔平が、紬ちゃんを本当に嫌いなのかなって思うくらい、翔平は紬ちゃんに執着してるよね」
「……嫌いじゃなかったら、ここまでボコボコにしねぇよ、」
「……だよね、
まぁどこまでしたのか、この血の痕みればわかるけどね?」
それでも、彼女は翔平の妹だ。
嫌いといっても、ちょっとやりすぎだと、和成は思ったが、特にそれを口に出すことはしなかった。
何故なら、彼にそれは、全く関係のないことだとわかっていたからである。
「……どうするの?
紬ちゃん、探すの?」
和成がそういうと、翔平は鼻で笑った。
「……問題ない、
アイツには家がここしかないんだ。
どんなに嫌でも、ここに戻ってくるだろうよ
……俺に、殺されるとしてもな」
彼の発言には、絶対の自信があるように思えた。