ビクッと身体が跳び跳ねたのがわかった。
それってつまり、修太くんに私を殴らせるということでしょ?
ちらっと修太くんを見ると、また目があって。
また、あからさまに目をそらされた。
「おい、やれよ修太。
お前、雷神連合の幹部だろ……?
人一人殴れねぇでそうすんだよ?はははっ」
笑う翔平さんと対称的に震える修太くん。
「俺がもっかいお手本見せなきゃダメ?」
翔平さんはそう言うと、また私を蹴り飛ばした。
「……うっ」
「修太もやれよ?
それとも……、
雷神連合、辞めたい?」
翔平さんの言葉に、修太くんの身体がピクッと反応した。
「俺……お、れ……」
翔平さんは、ガタガタと震えながらグッと手を握る修太くんの耳元にそっと口を近づけて、囁いた。
「1発やればいいんだ。
1発だけ蹴れば、お前の俺たちへの裏切りなんか、ナシにしてやるよ」
ゴクン……と、修太くんの喉仏が動いた。
その瞬間、
「……っ!!」
身体が宙に浮いて、私の全身は悲鳴をあげた。
あぁ……、修太くんに蹴られたんだ。
翔平さんが、ピュウッと口笛を鳴らした。
「いいねぇ、いいねぇ修太、結構思いっきり蹴ったな」
それでもまだなにか企んでいるような翔平さんだけど、私は少し安心した。
今の1発を我慢したから、修太くんも大丈夫。
私も、そろそろ解放してもらえる……
翔平さんは、もう私に手出しをする気はないのか、そこらへんの椅子に腰かけて、足を組んでいる。
修太くんは、うつむいて立ったまま、表情が読めなかった。
「修太……く、ん……
私のことは、気にしなく、て、いいか……ら……」
少しでも、私を蹴ったこと気にしてほしくない。
そう思って、やっとの思いで紡いだ言葉は、
「え……?」
勢いよく飛んできた重たい蹴りと、痛さとに全て書き消された。