私が小さい頃、今はもう亡くなった母が再婚。
『清水 紬』だった私の名前は、その日から『東雲 紬』である。
そして、新しいお父さんと共に、新しい兄と姉ができた。
兄は、現在高校三年生の、東雲 翔平(しょうへい)。
髪の毛は金髪で、顔立ちはとても整っている。
背も高いし、少し垂れた目をしてるからか、
見た目、とても優しそうで、理想の兄像っぽいけど、そんなことはない。
すぐキレるし、暴力的。
加えて、暴走族、“雷神連合”の総長なんだから、もう本物のヤンキーだ。
姉は、東雲 愛莉(あいり)。
私と、同い年の高校1年生だけど、誕生日が私よりはやいから、一応姉となっている。
そして、どっかのお偉いさんのお父さんは、海外赴任中。
つまり、このバカでかい家に3人で暮らしている。
……ーーこんな、息苦しい3人で。
……ずっと、小さい頃からそうだった。
翔平さんと、愛莉ちゃんは、
いつも私が大嫌いだった。
お兄ちゃん、とも。
お姉ちゃん、とも。
一度も呼ばせてくれたことはなかった。