肩を叩いた人物に、私は目を見開く。
それと同時に、恐ろしいほどの嫌悪感と恐怖が襲ってきた。
「しょ、翔平さん……」
見るからに超不機嫌な翔平さんは、恐ろしい目つきで私を見下していた。
「おい」
私にそう声をかける翔平さんに、私は思わず後退りをした。
手にもった携帯から、『紬?紬!?』と修太くんの声が聞こえてくる。
その瞬間、
「きゃっ」
携帯を持つ手を、翔平さんに捻りあげられる。
その力は全くの加減がなく、ギシギシと骨がなる音がする。
「翔平さん……、離してください……っ」
なんで翔平さんがここにいるのか全くわからないし、何に怒っているのかもわからない。
私の手を捻りあげてる理由すらさっぱりなのだ。
「……まさか修太を、たらしこんでたなんてな」
「ちがっ」
う、と言いかけたけれど、その手を無理矢理引っ張られ私の身体はカクンと傾いた。
「来い」
そしてそのまま、翔平さんに引きずられるように歩く。
「離して……っ」
痛さと恐怖のあまり、生理的に涙が出てくる。
そんな私の顔を見ると、翔平さんは
「来いっつってんだろ……ぶっ殺すぞ」
そう言ってさらに強い力で引っ張った。