「いった……っ」
「ねぇ、翔ちゃんが帰ってくる前に、終わらせてくれない??
翔ちゃん、ぶちギレるから。」
私にバケツを投げてきたのは、私の姉。
姉といっても、私が小さい頃に母が再婚した、父方の連れ子だから、血の繋がりはないけど。
「終わらせるって言ったって……」
私は今しがた帰宅したのだ。
帰ったら恐ろしいほど部屋の中が荒れている。
植木は全て倒れているし、その上を乱暴に踏み歩いたのか、土が足跡をつけて部屋中を散歩している。
「なにがどうなって……?」
「はぁ?理由なんてどうでもいいでしょ、
早くしてよ、翔ちゃん帰ってきちゃうってば」
どうせ、またくだらない奴等を家にあげていたんだろう。
こんな、無駄に広い家だし…………
「翔ちゃん帰ってくる前にやっといてね?」
そう私に言い残して、自室へ戻る、義理の姉。
こんなこと、よくあることで。
「はぁ~」
私はため息をついて、雑巾掛けを始めた。