「は?」

「だってめぐちゃんはお前が〝幼なじみ〟として好きだって言ってくれてると思ってるんだろ?」

「うん…」

「だったら言えば?そーいう好きじゃないって。女の子としての好きだって」

うん。

「手繋ぎたいしデートしたいしキスだってしたいって」

うんうん。?

「セック「わああぁぁぁ」」

俺は勢いよく奏の口を塞ぐ。

キョロキョロと周りを見渡して誰もいないことに安堵し、奏の口から手を離した。

「…無理だよ」

だってめぐは〝幼なじみ〟だもんねって言ったんだ。

って事は幼なじみじゃなかったらー…?

ただでさえめぐは学年1、いや学校1可愛いって男子の間でも評判で。

丸い大きなぱっちり2重の瞳に、思わずキスしてしまいそうになるほどのぷるぷるとした唇には、つやつやと輝くグロスが塗られていて。栗色の肩まで伸びた髪はふんわりと緩く巻かれている。

高校に入り友達に教わって化粧をするようになってから、可愛かったのがますます可愛くなった。

そんなめぐと一緒にいられるのは、〝幼なじみだから〟なんだ。

もし俺が〝それ以上〟を望んで、それがめぐの望んだ関係ではなかったとして。

めぐの隣にいれなくなったらー…

それを考えると。

俺の「好き」の意味が、伝わらなくていい。
でも伝わればいいのに。

そんな気持ちの間で、ぐらぐらと揺れ動く。