「ふっ…くく、」

俺の話を聞いていた奏(かなで)がもう我慢出来ないといった様子で肩を震わせている。

「…笑いたきゃ笑えばいいだろ」

そう言った途端。

何がそんなに面白いのか大爆笑し始める奏。

くそ、自分で言った手前むかつくな…

「ごめんごめん、で?慎は相変わらずなにもいえないままいつも通りって事ね」

笑いすぎたせいか目にうっすら浮かんだ涙を人差し指で拭う奏。

「…うん」

「これで何回目だっけ?」

んーと。

「小学校低学年ぐらいから毎日言ってるから」

正確に数えたことはないけど、何回だろう。

数えてみよう、とほんの出来心と好奇心でスマホの電卓アプリで計算してみると、それを見た奏が一瞬引きつった顔をしたのを俺は見逃さなかった。

…まあ奏がそんな顔をする気持ちも分かる。

なんたって俺自身が一番その数字を見てびっくりしたからだ。

「もう言っちゃえば?」