想像に難くないのに挑む男子、まったくもって解せぬ。


「代わり先生、来るのかな?」

「うーん、どうだろ。来たり来なかったりだもんね」

「真田的には来てくれたほうが嬉しいでしょ、教室が静かになるから」

「まぁねー」


そろそろチャイム鳴っちゃうし用も済んだし、座席に戻ろっと。

じゃあねと短く言い置いて座席に戻ろうとしたその時、慌ただしい足音が廊下から聞こえてきた。

振り返る間もなく、教室の扉が勢いよく開く。


「だっ、大ニュースだ!」


興奮気味で教室になだれ込んできたのは、トイレに行くと言って出ていった男子だった。

真冬だというのに、その額には汗が滲んでいる。


「どうしたんだよ、やけにトイレ早くねぇか?」

「それどころじゃねっつの! 今そこで先生達が話してるのが聞こえたんだけどさ!」


揶揄を払いのけ、当該男子が声を張り上げた。


「──サトタツ、結婚すんだって!」