その隙に、矢継ぎ早に言葉を投げつけた。


「だっ、だって! すっごい仲良いしっ! 2人が話してるところもよく見るしっ! そう思ってても不思議じゃないなーって思ってっ!」


毛穴という毛穴から、嫌な汗が噴き出ている。全身が心臓になったみたいだ。

サトタツはやっぱりまだ、面食らった様子で目を丸くしている。


数瞬のあと、私の言葉を飲み込んだのかサトタツは頬をゆるゆると緩めた。


「好きだよ、そりゃ」

「……え」

「可愛い教え子だからなぁ。真田のことは好きだし、お前のことももちろん好きだ」


いつもみたいな子どものような笑顔じゃなくて、大人の男の人の顔で言う。

違う、そうじゃない。そうじゃなくて。


「私が聞いたのは……っ」


私が聞きたいのは。

その先の言葉を、とっさに飲み込む。


聞いてどうするの?

聞いたって、そこには部外者の私の好奇しかないのに。

聞いたところで、何をするわけでもないのに。


聞いてしまったら、私が2人の仲を壊してしまうかもしれないのに。