「とりあえず朝読だろ。騒いでねぇでさっさと本読めー」


湧き上がる教室内を冷ますように、サトタツが指示を出す。

朝礼前に読書を行うのが、うちの学校の毎朝のルーティーンだ。(私は気付かず寝てることも多々あるんだけど)


エナメルバッグの中から、ブックカバーのついた一冊の文庫本を取り出す。

冬休みの最終日に、最寄り駅前の本屋さんで買ったものだ。


しおりを挟んでいたページを開いて、上から順に文字を目で辿る。


「……」


どうせ読めないしと思って敬遠してきた活字だけど、思いの外すらすらと読めるから不思議だなぁ。

何事も実際に触れてみないとわからないものだ。




5分弱の朝読書の時間を経て、朝礼が始まる。