365日の時を経て、世界は新しい年を迎えた。


「ちづ! ランニング行こうぜ!」


なんの前触れもなく飛んできた声に、ベッドに寝そべっていた私は弾かれたように顔を上げた。

勢いよく開いた扉の向こうに立っていたのは、ジャージ姿の幼なじみ。

彼の元気は年中無休らしい(怪我の時の康介はほんとに例外だった)。


「って……何してんの、お前」


ドアの前で怪訝そうに眉を顰めたかと思えば、その視線は私の手元に向けられている。

何って、見ればわかるじゃん。


「読書」

「どくしょォ!?」


康介は心底驚いた様子で、目をまん丸にした。

その目が語っている。“こいつが読書なんて”って。心外なんですけど。


「何、まじでどうしたの? 熱でもあんのか?」

「ないよバカ」