【初めまして】と書いたのと教室に古典の先生が現れたのは、ほぼ同時。

先生には悪いけど、挨拶のための起立すら億劫だった。

メールやSNSじゃなく手紙という急く必要のないやりとりなのに、無性に気が急いた。この気持ちを、早く言葉にしたかった。


再び席に着いて、紙にペンを走らせる。

スラスラと書きたいけど、出来る限り綺麗な字で感謝を伝えたかったから、スピードは必然的にゆっくりになった。




【リョータへ。


初めまして。登坂千鶴です。

手紙をくれてありがとう。

ずっとスルーしちゃっててごめんなさい。

突然の手紙にはびっくりしたけど、嬉しかったよ。


リョータを救ってくれた大切な言葉を私にくれたことも、嬉しかった。

現実と向き合う勇気をくれたから、私にとってもすごく大切なものになりました。