……大丈夫だよね。

私が康介にぶつけたのは、リョータがくれた言葉。

それは薄っぺらい理想なんかじゃなくて、実際にリョータを救ったものだもん。


大丈夫だ、とひとつ頷いて、便箋を再び封筒に仕舞った。




休み時間、再び康介のクラスに向かった。

すれ違う友達と適当な挨拶を交わしながら教室の中を覗くけど、ぽっかりと空いたままの机。


「…………」


ダメかぁ……。

がっくりと肩と視線を落とした時、誰かが「あ」と呟いた。


刹那、頭を後ろから叩かれる。


「なっ……!」


後頭部を抑えて勢いよく振り返ると──


「なんつー顔してんだよ、ちづ」


息が、止まるかと思った。

心臓を鷲掴みにされたみたいだった。


そこに立っていたのは、帰りを待ち望んだその人だったから。