「……まだ、わかんないよ」


拳に込めた力を、更に強めた。

まるで、自分を鼓舞するかのように。


「……そうだな」


南山は少しの笑みと共に、小さく頷いた。




3時間目のコミュニケーション英語の授業中、床に置いてあるエナメルバッグのサイドポケットから手紙を取り出す。

封は開いているので、便箋は容易に取り出せた。


「…………」


目で辿ったのは、私を勇気付けるべくして勇気付けてくれた、右肩上がりの字。

じっと眺めて、それが今の私のお守りのような存在になっていることに気付く。


迷惑とか気持ち悪いとか思ってたら、ってリョータは言ったけど……全然そんなことない。

純粋に私を心配してくれた人を、そんなふうに思ったりなんかしないよ。