「精々頑張ることね。なんたって、この私を使ったんだから」


興味なさげに吐き捨てて、彩音ちゃんは私の横を通り過ぎて廊下を歩いていく。

その後ろ姿に、心の中で何度もありがとうを繰り返した。




最寄駅から家までの道中、キャリーバッグを引きながら取り出したのはリョータからの手紙。

電車に揺られている間は家に帰ってからゆっくり読もうと思ってたけど、久しぶりの手紙、もう読むのを我慢出来なかった。

封のされていない封筒から、折り畳まれた一枚の便箋を取り出す。




【登坂さんへ


こんにちは。へんじを書くのがずい分おそくなってしまって、ごめんなさい。それから、色んなことをかくしていて、びっくりさせてしまったこともごめんなさい。

おれがねむっている間、たくさん手紙をくれてありがとう。


君がいたから、目をさますことが出来たように思います。

しんじられないかもしれないけど、おれは元気です。

一日でも長く元気でいられるよう、がんばります。