右肩上がりの丁寧な字で私の名前が記された封筒から、手紙を取り出していく。

順番に、私達の軌跡を辿るように。


【初めまして。突然手紙なんて書いてごめんね。

俺、リョータって言います。

よかったら友達になってくれないかな】


どこの誰かも知らない相手から突然届いた、一通の手紙。

これが、全ての始まりだった。


【落ち込んでる時、君の走る姿を見て元気をもらったことがあるんだ】


二通目の手紙の一文。

この落ち込んでる時っていうのは多分、病気が発覚した時のこと。

……あぁ、これもそうかな。


【“走り続けることは苦しい。
でも、その苦しみの先には、見たこともない景色が必ず広がっている。”

挫けた時、俺を救ってくれた言葉です】


君が大切にしているというこの言葉は、誰が生み出したものなんだろう。

見たこともない景色を、君はもう見れたのかな、それとも、まだ道の途中かな。

途中なのなら私も便乗させてくれないかな、なんて思ったりするよ。図々しい?