そうか。あんたはこれを言うために、わざわざ待っててくれたのか。

しょげてる私を鼓舞するためだけに、距離を置きたいと言った私との接触を図ってくれたのか。


「その場で足踏みしてたって何も変わんねーよ。やれるだけやってみろ」

「康介……」

「傷ついた時はその時だ。真田にでも話聞いてもらえ」


俺はごめんだけどな、と康介が舌を出す。

意地悪なその物言いに隠れた優しさが、凝り固まっていた私の心を解かした。


私はどこまで、康介に頼ってばっかりなんだろう……。

情けなさと申し訳なさが同時に込み上げて、咄嗟に唇を噛んだ。

そんな私を見て、康介がケラケラ笑う。


「ははっ。お前が何考えてるか、手に取るようにわかるわ」

「え……」

「俺のお節介なんだから、いちいち負い目に感じる必要ねんだって」


遠くに学校の最寄り駅が見えてくる。雨足が強いせいで、光などでぼんやりと確認できるだけだけど。

この雨なのに、明日晴れるってほんとかな。