今まではすぐに返事が靴箱に届いていた。

そのことに安心して、すっかり忘れてたんだ。リョータの気持ちが離れてしまえば、簡単に切れてしまう程度の繋がりなのだと。


「追加で書いてみたら? 向こう、ちづからの手紙が来てたこと忘れてるんじゃないか」

「私の靴箱から自分で回収してるんだよ? 普通、忘れないでしょ」

「すっげぇ記憶力の悪いやつだったらあり得るんじゃね」

「けど、リョータはそんなタイプじゃないと思う……」


中学の私を覚えてて、手紙をくれた。そんなリョータが、私から手紙が届いたことを忘れたりしないと思う。


「私のこと、面倒になったのかもしれない。そんなふうに考えたら、もう一度手紙を書こうなんて思えないよ……」


その手紙が、今度は靴箱から消えなかったら。可能性を思い浮かべただけで、身の毛がよだつのに。