予想外の言葉が続いて真田を見たけれど、彼女は頬杖を突いたまま窓の外を眺めていて、視線が絡むことはない。


「部活に行く姿とか見てると……今やっと、走ることを純粋に楽しんでるように見える」


真田……。

ぽかんと口を開けていた私を睨みつけ、照れ臭くなったのか半ばやけくそになって私を指さす真田。


「だから! あんたは立ち止まったままじゃないのよ! 強くなってんの!」


突然ボリュームが上げられて、教室内の視線が集まったのがわかった。

真田もそれに気付いたのか、再びわざとらしい咳払いをする。


「全部受け止めるしかないんだよ。いい変化も、悪い変化も」


真田の言ってることはわかる。

私を元気付けようとしてくれてることも伝わる。

だけど、でも。


「正体のわからないリョータの変化は、怖いよ」