「初めて康介を男の人として見た。異性としての康介は、幼なじみとして見るだけでは気付かなかった魅力がいっぱいで、溢れてて……あれだけモテる理由がすごくわかった」


私が言うと、彼は眉を下げて「なんだそれ」と笑った。


「康介にはなんだって言えるし、これからもそうなんだと思う。こんなにも傍にいて安心するのも、康介だからだと思う。康介とお付き合いできたらすごく幸せなんだろうなって、本当に、心の底から思ったの」


康介は私をじっと見据えて、静かに私が紡ぐ言葉に耳を傾けてくれている。

柔らかな、それでいて何かを覚悟したようなその表情に、苦しくなって涙の膜が瞳を覆った。


「だけどね。どうしても……どうしても、私の世界を康介だけで埋めることは出来なくて」


堪えかねた大粒の涙が頬を転げ落ち、前で組んだ手の甲を濡らしていく。

涙の海に、康介の姿は隠された。


「真田に言われて、依存して固執してるだけなんじゃないかとも考えたんだけど……それでもリョータの存在が私の中から消えてくれなくて、康介とのことを考えた時にずっと影を落としてた」

「…………」