読み終わったら、また感想聞かせてね。

じゃあ、今回はこの辺りで】


手紙を読み終えると、心がぽかぽかと温かくなった。

相変わらずリョータの物腰は柔らかくて、安心する。

でも……なんだろう。


「なんか、違和感」


口にしてすぐ、その違和感の正体に気が付いた。

少し右肩上がりの、達筆なリョータの字。いつも綺麗なその字が今回の手紙に限っては少しだけ乱れているというか、弱々しいというか。

急いで書いたのかな。初めのほうに、俺も興奮気味に手紙を書いてる……って言ってたし。


珍しいこともあるもんだと、あまり気に留めることなく便箋を折り畳んで封筒にしまった。


『君の声が聴こえる』って、読んだことないなぁ。

今までずっと、青春系のものばっかり読んでたから。

帰りに本屋さんに寄って、探してみよう。


そう心に決め、私は部活に向かうべく勢いよく立ち上がった。




『君の声が聴こえる』の世界は、優しく、キラキラしていた。

ある日突然聴覚のほとんどを失った主人公・梨絵と、そんな彼女を目の当たりにし、自分には何が出来るのかを考える高校のクラスメート・光希。