「3、登坂母がエレベーターでかち合ったご近所さんに登坂の結果を報告した」

「……ん?」

「4、登坂母から結果を伝えられたどっかのサッカーバカが、メッセージで私に教えてくれた」


また、胸が苦しいくらいに締め付けられる。

私は今も、情けない顔をしているんだろう。


真田に教えたのが、宇宙人だったらよかった。

お母さんが真田の連絡先を知っていたらよかった。


「随分嬉しそうだったわよー。普段使わない絵文字なんか使っちゃって」


真田が、私の知らない彼を教えてくれる。

知れば知るほど、康介がどれだけ私を思ってくれているかが伝わる。

そのたびに胸がいっぱいになるのに、こんなにも苦しくなる理由は。


「今すぐにとは言わないけど、ちゃんと返事してやんなさいよ?」


固まる私を見かねた真田は、眉を下げて柔らかく微笑んだ。




朝、学校に来て靴箱を開く。夜に差し掛かって、帰宅するために靴箱を開く。

その当たり前の行為に胸を躍らせているのは、多分学校で私くらいのものだろうと思う。

一歩引いて。それを意識してもワクワクするものはするし、どうしようもない。