差し出されたその用紙を受け取り内容を確認したところで、自分の口がへの字に歪んだのを感じだ。


「その様子じゃ、このクラスはまだみたいねぇ」


今日辺り配られると思うよ、なんて言いながら喉を鳴らした真田にそれを突き返す。にやにやしてるとこを見ると、十中八九、私の反応を見て楽しんでる。

だってまさか、朝一番に進路希望調査票を見せられると思わないじゃん!


「進路、どうするつもりなの」


頬杖を突いて、真田が聞いてきた。その口調から、ただの話の種として投げ掛けられた質問だとわかる。


「全然考えたこともなかった」

「だろうと思った」


クスクス笑う真田は、どうやら確信犯だったらしい。

なんだか悔しくてじろりと睨んでやるも、怯む気配すら見せない。さすが真田柚麻だわ。


「真田はどうすんの? 数学の先生になりたいんだよね」

「うん。だから、教育学部とか数学を専門に学べる学部を中心に探そうと思って」


真田が指をさした用紙の記入欄には、私には到底届かないような大学の名前と学部名が記されていた。