断言出来る。康介の手を取ったら、私は絶対に幸せになれるって。


そう思うのに、どうしてだろう。

どうして──心の奥深くで蟠りが叫んでいるんだろう。姿だけ見せて、名前は教えてくれないくせに。


「……ほら、さっさと帰るぞ」


さっきまで私を襲い続けていた空腹は、もうとっくにどこかに消えている。

何もなかったかのように再び歩き始める康介の広い背中が、涙で滲んだ。




週が明けた月曜日の朝、靴箱ポストに手紙を託した。

それからいつものように朝練をこなし、教室に足を踏み入れると、私の席で真田が待っていた。

閑散とした教室の中で、椅子に腰かけた真田は我が物顔でケータイをいじっている。

その姿に、思わず笑ってしまった。


「おはよ」

「おはよ。珍しいね、真田のほうが早いなんて」

「ん、まぁね」


私が歩み寄ると、真田は席を立って私の前の席に座り直した。冨樫くんが登校してきたら、その隣にでも移動するんだろう。


「これ、貰った?」


私が席についたのを見て、カーディガンのポケットから1枚の紙を取り出した真田。