私の心の隙間を表すかのように、冷たい風が通り抜けていった。


「…………」


康介の怪我は、これが初めてではない。


確かあれは、小学生の時。

家のソファーからジャンプし、着地する際に捻挫した康介。

それを知って、半ば呆れ気味に怒った当時の監督が、康介に聞いたんだ。

『試合は出られそうにないか』って。

病院のおじいちゃん先生に出ない方がいいと言われていたことは、おバカな幼なじみもさすがにちゃんと覚えていたはずだ。

だけど、おバカな幼なじみは、どこまでもおバカで。『出られます。出してください』って、不敵な笑みを浮かべて言い放ったの。


怪我を押してまで、出場した過去の康介。

でも、今回は同じようにはいかない。

頭部からの出血。打ち所が悪かったら、もっと重症だったかもしれない。

何より、康介本人がどれだけ出場を望んでも、顧問の先生がそれを良しとしないだろう。