自分が、どうしたいか……。


「大切だと思うのなら大切にし続ければいいし、長谷先輩にも素直にそう伝えればいい。と、私は思いまーす」


最後はおちゃらけた声色でトモちゃんが言った。

喉の奥がつっかえたように言葉がうまく出てこなくて、ありがとうと言うのが精一杯だった。




大切だと思うのなら、大切にし続ければいい。

リョータとの繋がりは、私にとって大切なもの。

だけど、康介との繋がりも私にとっては大切で、切り離すことなんて絶対に出来っこない。


『今いる場所から一歩だけ引いてみて。“リョータ”の言葉を、単なる言葉として受け止めてみて』

『長谷のことを男として認識したなら、今からでもいい、ちゃんとあいつを見てやって』


真田に出された課題は未だ課題のまま、私の胸の中で燻っている。




翌日、朝早くに家を出た。

空には薄い雲がかかっていて、太陽の光を浴びることは出来ない。