お母さんが作ってくれていた生姜焼きを堪能して、お風呂に入り、それから自室に足を踏み入れる。

急きそうになる気持ちを、ぐっと堪えた。


ベッドの枕元にある充電器にケータイを差し込んでから、ようやく机の前に座る。もちろん、リョータへの返事を書くために。

真田は言った。康介に遠慮する必要はないって。私とリョータとの間にも人間関係はあるんだからって。

リョータには沢山心配かけてしまったから、早く返事を書きたかった。

でも、真田に指摘された依存状態から抜け出すために、あえて1日の最後に回したんだ。効果的かどうかは、わからないけど。


薄紅色のレターセットを引き出しから取り出し、ペン立てから使い慣れたボールペンを取る。

一歩引いて。冷静に。……うん、大丈夫だ。




【リョータへ


こんにちは。中々返事が書けなくてごめんなさい。

沢山心配かけたよね、ごめんね。

心配だからと手紙をくれたこと、嬉しかったです。ありがとう。