ずっと、部活での重圧に押し潰されてしまいそうだったこと、そんな私を心配してリョータが手紙を寄せてくれたこと。

そして、文通の存在を康介に知られてしまった昨夜のことを。




拙い言葉だったけど、真田は静かに最後まで聞いてくれた。

怖いくらいの静寂が、私達の間に落ちる。


「…………」

「…………」


話すだけ話した私は、真田が口を開くのを待った。

しばらくして、難しい顔をした彼女の薄い唇が動く。


「まさか……そんなことになってたなんてね」

「……うん」

「登坂が、その“リョータ”って人と文通してることも、全然気付かなかったよ」

「そりゃそうだよ。誰にも知られたくなくて、隠してたんだから」


康介には気付かれてたみたいだけど、という言葉はまるまる全部、飲み込んだ。


「確かにこの状況は、長谷にとっちゃつらいわね。長年想い続けた幼なじみが、知らないうちにどこの誰とも知れない男の色に染まってたんだから」