「登坂。あんた、長谷と何かあったでしょう」


深い海のような漆黒の瞳に、困惑の色を浮かべた私が映る。

すると、彼女は眉間に皺を刻んで長い息を吐いた。


「わかるわよ、それくらい。朝も全然喋んないし、登坂が倒れた時なんて真っ先に駆け付けたくせに、ここまで運んだらさっさとどっか行っちゃうし」

「え……」


真っ先に……来てくれたの?

あんなにバスケに熱中してたのに……?


「らしくないよ、今日の2人。何があったの?」


様子がおかしい私達のことを案じて言ってくれてることはわかってた。

でもこれは、気軽に話していい内容じゃ……。


「告白でもされた?」

「……へっ!?」


ぎょっと目を剥いて真田を見ると、彼女は特に表情を変えることもなく、納得したように顎を引いた。

待って待ってお姉さん。なんで腑に落ちた、みたいな顔してるんですか。ねぇ。

私が考えていることを読み取ったのか、真田がゆるく口角を上げる。