一度認識すると、右の前頭部がズキズキと痛み始める。

誰だ、あのボール放ったの。こんなに威力出せるなら、絶対にバスケ部入ったほうがいいと思うけど。


「今、何時間目……?」

「ちょうどお昼休みに入ったとこ」


なるほど、だから真田は制服姿なのか。


「初めは脳震盪かと思って横の病院に運び込もうかって話になったんだけどね、翌々見れば寝てるだけだったら保健室のベッドに転がしておこうってことになったのよ」


寝不足だったでしょ、あんた。と真田がパイプ椅子を引きながら言う。


なんと。私が意識を手放している間に、そんな会話が繰り広げられていたとは。

心配かけて申し訳ないと思う反面、結論についてはもう少し言い方があったろうと口先を尖らせる。

とはいえ意識や視界は見違えるほどにクリアリーで、寝不足が祟ったことを改めて痛感した。


「真田がここまで運んでくれたの?」

「まさか。長谷だよ」


思いがけず投げられた名に、私は瞬きすることも忘れて固まる。

そんな私を、真田はじっと見据えた。