「…………」


見間違いじゃ……なかった。

何度瞬きしても、昨日と同じように上靴の上に封筒が置かれているのが見える。

ゆっくりと手を伸ばして確認すると、昨日届いた手紙と同じ右肩上がりの字で『登坂 千鶴様』と記されていた。


「ちづ。何してんだ? 着替える時間、なくなんぞ」


上靴に履き替えた康介が、靴箱の陰から姿を見せる。


「あ……うん、ごめん。今行く」


これまた昨日同様、手紙をジャージのポケットにしまい、慌てて上靴に履き替えた。




まだ10人ほどしか生徒がいない教室で、椅子に着いて手紙に向き合う。

そっと封筒を開くと、昨日同様に白い便箋が現れた。

今回は躊躇うことなく、それを確認する。




【登坂 千鶴さんへ。


昨日は突然手紙なんて書いて、びっくりさせてごめんね。

でも、怪しい者じゃないんです。それは信じてほしい。


落ち込んでる時、君の走る姿を見て元気をもらったことがあるんだ。

そんな君と、いつか話してみたいと思ってて……って、これじゃほんとに怪しいやつみたいだね(笑)】