通学路を鮮やかに彩る桜色を望むのも、もう三度目になる。

ローファーの磨り減った踵を鳴らしながら、まだパリッと硬そうな制服に身を包んだ下級生を眺めた。


「いいなぁ初々しいなぁ」

「……お前、感想がオバチャン」


朝日に目を細めながら声を漏らすと、隣を歩いていた康介が呆れ顔でツッコむ。


「うるさいなぁ。いいじゃん、キラキラしてて羨ましいと思ったんだもん」

「たった2年しか変わんねーのに、キラキラもクソもあるかよ」


制服のポケットに両手を突っ込んで、興味なさげにバッサリと切り捨てる康介。

随分お口が悪いことで。


「でもさー、2年って結構おっきくない? 高校入学したての頃は、3年生がすっごく大人に見えたし」

「あー……2年前もはしゃいでたっけね、お前」

「心躍らせてたって言ってもらえる?」


じろりと睨んでやるも、当の本人はどこ吹く風。

全く、幼なじみってやつは……。