「そう思う気持ちが少しでもあるんなら……サトタツにちゃんと伝えたほうがいいんじゃないかな」

「え……」

「サトタツの心を願うのはダメかもしれないけど、伝えるくらいならきっとバチは当たらないよ」

「バチって……」

「どうするのか決めるのは真田自身だけど……今のままじゃ絶対に後悔すると私は思う」


話をする場所に選んだのが外でよかった。

思ってた通り、体温がぐんぐん上がっている。

頬が熱くて、熱すぎて、溶けちゃいそうだ。


「勇気は一瞬、後悔は一生って……私も、ある人にそう教わったの」


私、また無責任なこと言ってるかな。言ってるよね。

でもこの状況で真田の背中を押してあげられるのは、私しかいないってわかってるから。だからね。


「どんな結果が待ってたって、私がいるから。一緒になって泣くから。私、真田に一生の後悔なんてしてほしくない」


プリントの束の上に置かれた真田の手に、自分の手をそっと重ねる。

一人じゃない、そんな気持ちが掌から伝わるように。


「状況とか婚約者のこととかは一旦置いといてさ。真田自身はどうしたいの?」

「……っ」


大きく見開かれた真田の目が、揺れた。