「代わりに対応してくれたのがサトタツだったの」


俺が見てやるよ。そう言って、サトタツは面識のなかった真田に数学を教えてくれたという。


「初めは、本当にびっくりした。二次関数をジェットコースターに例えたりするの。びっくりしたけど、本当にわかりやすかった」

「……うん」

「教科担当だった先生には申し訳ないけど、それからはサトタツに質問を持っていくようになってね。サトタツも、一つひとつ丁寧に教えてくれて。少しずつ、数学への苦手意識がなくなっていったんだ」


数学嫌いだった真田が、今の真田になるまで。

そこには、真田の沢山の努力とサトタツの力添えがあったんだ。

そして、第三者は知り得ない2人だけの時間も。


「数学を教えてもらう合間に、色んな話をした。私も自分のことを話したし、サトタツも沢山話してくれた」


高校時代はバスケ部だったこと。

部活に励んでばっかりで、勉強には全然力を注いでいなかったこと。

だけど高校2年生の時に同じクラスだった友達が教えてくれたのをきっかけに、数学が好きになったこと。