どんな選択をするのが正しかったのかどうか、やっぱり私にはわかりそうもない。

だけど、一つだけ知っている。起こってしまった事実は消せないってこと。

だから、自分の手で正しい選択にするんだ。


そうすることが最善なんだと、大切な友達が教えてくれた。


「……っ」


視界の端で、真田がスカートの裾をぎゅうっと握った。中手指節関節がくっきり浮かび上がって、山と谷を描いている。

言いたいことは全部言った。真田のその手を眺めていると、やがてか細い声が耳に届いた。


「登坂の言ったこと、何も間違ってなんかないんだよ」

「……え?」

「サトタツのことが好きなら……って、あんた言ったでしょ」


拳には力が込められたまま、真田が小さく笑う。


「私、サトタツのことが好きだったんだ。……なんて過去形で言いながら、全然過去になんか出来てないんだけど」


こちらに向けていた体を捩って、真田は鞄のジッパーを開けた。

中から、見覚えのあるものが取り出される。


「それ……」

「うん。登坂が私に届けてくれたんだよね」