それだけで、心がぽかぽか温かくなるよ。


真田が言うように、走ることは確かに好き。

でもね、違うの。


「今はそれ以上に真田と話したいんだ」


リョータがくれた勇気を抱き締めて、真田を真っ直ぐ見据える。


私達、今のままじゃ絶対にダメだよね。

今まで通り、なんて甘いこと言って、後ろに進むのも違うよね。

この経験を糧にして、お互いに手を取り合って、前に進まなくちゃいけないんだ。

私達ふたり、本当の友達になるために。


「……わかった。じゃあ放課後、外階段の踊り場で話そう」


外階段の踊り場。サトタツの結婚が男子によって報された時、教室を出て行った真田が行き着いた場所だ。

確かに、あそこなら人気が少ない。話をするのに相応しい場所だろうと思う。


私が頷いたのと同時にチャイムが鳴ったので、私は行きよりも少し軽快な足取りで自席に戻った。




放課後までの時間が、今日はいつも以上に長く感じた。

お昼は別々に食べた。真田と食べないお昼ご飯はやっぱり慣れない。慣れたくない。