自分が同じような顔をしていることは容易に想像できる。

初めて衝突して、前にも後ろにも行けなかったのは、もしかするとお互い様だったのかもしれない。


「今日、部活は?」

「……オフ」

「じゃあ……放課後、時間取れるかな」


お昼休みとも思ったんだけど、内容が内容なだけに人に聞かれるリスクを少しでも下げておきたかった。

放課後なら、場所さえ選べば比較的人も少ないし、話をするのに一番適してると思ったんだ。


真田とぶつかってしまったあの時も、こんなふうに考えられたらよかった。

口出しすることを選ぶにしても、場所や時間をちゃんと見計らって言えばよかった。

考えが及ばなかった私の反省点だね。ごめんね。


「……私は大丈夫だけど、あんた部活は?」

「あるよ。でも、途中で合流できるから」

「走るのが一番好きなくせに、無理しなくていいよ。部活行きな」


ぶっきらぼうだけど、突っぱねるような言い方じゃない。

こんなにギクシャクしていたのに、私のことを想って言ってくれた。