ねぇリョータ。

私、君がくれた勇気を無駄にしたくない。

勇気を無駄にして、真田のことを失いたくないよ。


私と真田の間に、女子特有のめんどくさい関係は成立しないと思ってた。

お互いに執着なんてしないまま、核心に触れないまま、これからものらりくらりと過ごしていくんだって。

だけど、そんなことなかったんだよね。

私達にだって、めんどくさい関係は成り立つんだ。

本音でぶつかって、時には感情を露わにしてさ。きっと、そうやって関係を築いていかなくちゃいけないんだよね。


そのために、私から一歩を踏み出そう。

まだ少し怖いけど、大丈夫。

これから歩むべき道は、リョータが確かに照らしてくれたから。




翌日、朝練をこなしてから教室の扉を開けた。

まだ門に先生が立ち始めたくらいの時刻だから、人の影は疎らだ。

いつもはショートホームルームまで寝て過ごしているところを、今日は机に突っ伏すことなく真田の到着を待つ。