憶測? ……本当に?

その端正な顔を歪めて、眉間に皺を寄せて、今にも泣いてしまいそうなのに……?


「……っ」


次に発する言葉を探しあぐねているうちに、真田が階段を駆け下りていってしまう。

やけに小さく見えたその背中を追う術を、私は持ち合わせていなかった。




喧嘩、になるのかな。


真田とぶつかった日の午後、彼女と視線が絡むことはなく、数日経って週が明けてからもそれは同じだった。

私達の様子がおかしいことに気付いた康介と南山が一度教室に来てくれたけど、サトタツのことを隠したままうまく説明できる自信がなくて、何も言えなくて。

声を掛けようとしても、彼女の全てがそれを拒んでいるように思えて一歩を踏み出すことが出来なかった。


行き止まりで、どん詰まりだ。




練習を終え、部室を出るタイミングが重なった康介と2人で昇降口を目指して歩く。


「どうする? マックでも寄って帰るか?」

「んー……、今日はいいや」