悔しくて悲しくて、どうにかしたくてもどうにも出来なかった。

その事実を飲み込んで、康介は“諦める”ことに意味を見出したんだ。


諦めることは悪いことじゃないのかもしれない。──でも。


「ははっ、重症だな」


俯く私の頭をくしゃっと掻いて、康介は歩くスピードを少し速める。


悪いことじゃないってわかるけど、諦めろなんて真田に言えない。

私の心に居座ったままのモヤモヤを見透かした様子の康介に、何とも言えない悔しさが湧き上がった。




夜の間に沢山たくさん考えて、気付いたら窓の外が白みを帯びていた。

一睡もしないのはまずいと慌てて夢の中に足を踏み入れたけど、いつもの時間に起床できるはずもなく、完全に目が覚めた時には時計は3時間目の授業が始まる時刻を示していた。


部屋に広がる冷気に構うことなく、布団から飛び出す。


「や、やっちゃった……!」


また朝練欠かしちゃったし……! っていうか、無遅刻無欠席記録がーっ!




大急ぎで支度をして家を飛び出し、学校の門をくぐったのは4時間目の開始を知らせるチャイムが鳴ったのとほぼ同時だった。

職員室で遅刻届を書いてから、とぼとぼ歩いて教室を目指す。