それは本当に正しいことなのだろうか?


私達2人の間を、強い風がびゅうっと通り抜けていく。

今会った風に、もう二度と会うことはない。今日はなんだか、それが少し寂しい。


「足掻くことが許されないなら、諦めるしかねぇよ。傷つくだけ傷ついて、痛みが和らぐのを待つだけだ」


頭上から降ってきたのは予想の地平にはなかった言葉で、私は弾かれたように顔を上げた。

康介の横顔は街灯に淡く照らされていて、胸がきゅうっと締め付けられる。


なんであんたが、そんなことを言うの。


「諦めるなんて……」

「だって、どうしようもねぇんだろ? 足掻くことは許されない。でも、行動しなければそれこそ何も変わらねーよ」

「そう、だけど……」

「手に入らないっつー運命は変えられないなら、割り切って諦めるしかないだろ」