バラバラに散らばっていたパズルのピースが、1つずつ、確実に嵌っていく。


どうして……どうして、こんな状況になるまで気付けなかったんだろう。


「……っうぅ」


最後のピースがカチリと音を立てて嵌った。


サトタツが真田を好きだったんじゃない。

──真田が、サトタツを好きだったんだ。


生徒と教師という垣根を超えて、手の届かない存在になろうとしている相手を想ってこんなにもボロボロになってしまうまで。


「……っ」


好きという感情がなんたるかさえ知らない私が、一体真田にどんな言葉をかけてあげられるというのだろう。

私が待つ全ての語彙をかき集めてどんな言葉を並べてみても、中身がないことは歴然だろうに。


私には何も出来ない。

その無力さが悔しくて、だけど私が泣くのはずるいと思って、溢れ出そうになる涙を、唇を噛んで必死に堪えた。