それは本当に突然に、私の元へと届いた。




「…………」


昇降口の一番右にある古びた靴箱の3段目、左から数えて4番目。

いつも通り朝の自主練を終えた私は、やっぱりいつも通りにそれを開けた。

いつも通りじゃなかったのは、上靴の上に何の変哲も無い封筒が無造作に置かれていたこと。


「……何コレ」


恐る恐る手に取ってみると、達筆な、だけど少し右肩上がりの字で、『登坂 千鶴(とさか ちづる)様』と、はっきり私の名前が書かれていた。

どうやら、人違いの可能性はないみたいだ。


冬を目の前にした朝は冷える。

寒いさむいと口にする生徒達が登校し始めたので、私は着ているジャージのポケットにその手紙を突っ込んで更衣室へと向かった。




クラスメートが次々に姿を現わす教室で、私はさっきの手紙と睨めっこをしていた。

ラブレターを貰うようなタイプじゃないことは、自分でもよくわかってる。


「…………」


ええい、眺めてばかりいてもしかたない!

悶々とするのが嫌になって、思い切って手紙の封を開けてみると、二つ折りにされた白い便箋が中から姿を見せた。