それには答えず、笑顔でごまかそうとしたのに失敗した。

沖縄に行った日から、初めて涙がでた。

ずっと我慢してたのに。

「アイツ…うちの娘に何したのよ!」

隣でブチキレる桐ママ。

「蓮、来い。」

目の前で手を広げて、優しく言ってくれる桐パパ。

迷わず飛び込んだ。

散々泣いて、その間もずっと頭を撫でてくれる温かい手。

なんだか桐と撫で方や温もりが似ていて、また泣きたくなった。

「アイツの嫁にするには、蓮はもったいない。いいぞ、蓮の気持ちの赴くままにしなさい。」

『…ありがとう。でも、私じゃないわ。桐は私にはもったいないのよ…。』

「蓮ちゃん…それだけはないわ。そうだ!しばらく家にいたら?桐はめったに家には来ないし、来ても入れさせないし。灯台もと暗しよ。」

いたずらっ子のように、嬉しそうに言う桐ママがなんだかかわいくて。

思わず笑ってしまった。

「さぁ、そうと決まったら、買い物に行きましょう!夕御飯何が食べたい?」

『う~ん。桐ママのご飯は何でも好きだけど、今日は和食がいいなぁ。今日まで沖縄料理だったし。あっ、お土産買ってきたから、夜食に食べようね!』

「沖縄いたのっ?!」

『うん、癒されたくて。少し効果はあったよ…。』

「…そう、ならいいわ。」

優しく微笑んでくれる桐ママを見てたら、元気になれそうな気がした。