次の日。

朝からひとり、砂浜を歩いてる私。

なんだか眠れなかったし、今日帰るから最後の気分転換にやってきた。

虹はまだ寝てる。

きちんと置き手紙はしてきたよ。

昨日もかなり飲んでたから、まだ起きないだろうな。

足を海水で濡らしながら歩いていると。

「蓮っ!」

聞き慣れた声がして、そのまま腕を引っ張られ抱きしめられた。

いつも安心してた、桐の匂いがする。

「蓮っ!ごめん、ごめんな。イヤな思いいっぱいさせて、あの曲も…ほんっとごめん!殴ってくれて構わないから、オレを隣にいさせて。お願い、いなくならないで…。」

泣いてる…?

表情を崩さない私に、桐は不安を隠さない。

何も言わない私を、さらに強く抱きしめてくる。

「蓮…なんか言って?オレのこと、キライになった?」

『キライじゃないよ?桐こそ、私に対する好きの気持ち…減っちゃったよね?私ばっかり好きでごめんね?メンドクサイよね。しばらく距離置かせてほしい。きちんと気持ち落ち着けるから。…ごめんね。』

「蓮っ!違う。減ったりしてないから!あのバカ女を、蓮のイトコだからって、2週間我慢しようとしたのが間違いだったんだ。蓮がオレを避けだして…焦って一気に終わらせようとして、バカなことしてしまった。大好きな曲だと言ってくれてたのに。距離なんて置きたくないよ…それだけは無理だ。」

早口になる桐は、私をぎゅうぎゅう胸に押しつける。

苦しい位に抱きしめられても、心が動かないのはなんでかな?

自分で自分がわからない。

どうしたらいいんだろう。