「どうだったぁ?!思ったより難しいねぇ、この曲!」

歌い終わったバカ女に、オレは後悔しかなかった。

蓮への大事な気持ちを、他の女に口にされるなんて、ヘドが出そうな位イヤなもんだった。

なんだ、この気持ち悪い感じは…。

「へったくそ!そんなんで自信持ってたの?」

「そうそう。声でてねぇし、音程あってねぇし、歌詞間違ってるし。」

祢音、凱の順で今までの鬱憤を晴らすように、言葉を浴びせる。

バカ女は顔を真っ赤にさせて、オレの腕にしがみつく。

「桐十くんはそんなこと思ってないよね?!」

上目遣いが可愛いと思ってんのか?

ツケマバサバサしてて気持ち悪ぃ。

「離れろ。毎回臭いんだよ。何枚洋服捨てさせるつもりだ?てか、ハッキリ言うけど、あれで蓮より上手いって本気か?お前、オレ達のライブ来たことあるんだよな?起きて聴いてたか?蓮のイトコだから、少しは多目にみてやってたけど限界だ。二度と顔見せんな。ライブにも来んなよ。出禁にしといてやるからな。」

オレは凄むようにバカ女に、言葉を浴びせる。

もっと早く強く拒否ればよかった。

そうしたら、宝物が消えなかったのに。

今のオレは後悔しかない。