(桐十side)

「今日、蓮はまだ大学いて、少し遅れるから。」

スタジオに着くと、祢音と凱はもう楽器を触りながら待ってた。

「おお。てか、蓮のイトコ何とかなんねぇの?いい加減うぜぇよ。」

凱のトゲのある声。

「確かに。毎回勝手に入ってくるし、桐十も強く言わねぇし。迷惑だって言ってよくないか?お前達さぁ、最近うまくいってねぇだろ?」

気がつくよなぁ。

蓮から若干避けられてるのは、ひしひしと感じてるから、内心かなり焦ってるオレ。

蓮があの女をニガテとしてるのは昔からだし、オレだってニガテだ。

ただ、蓮のイトコだから関心なくても、最低限は普通に接してただけだ。

ただ、スキンシップが激しくて、その度に蓮が寂しそうにしてたのもわかってたけど、たった2週間位なんとかなるかと軽く考えてたのが大きな間違いだったと、後に気づくことになる。

「おっじゃまっしま~す!」

今日も陽気に入ってくる、ぶりっ子な蓮のイトコ。

名前さえいうのもうっとおしい。

「あれぇ?蓮いないじゃぁん!ラッキー!ねぇねぇ、私代わりに歌っていーいー?」

腕に巻きついてくるのをふりほどきながら、ふと考える。

一回歌えば諦めるんじゃないかと。

蓮より上手いわけないんだし。

「なぁ、一回歌えばもうしつこくここに来ないか?オレ達、練習に来てんだよ。」

「桐十っ?!」